【奇想天外なことが繰り返される無限ループの中毒性アリ!】
大きなかばが画面一面に書かれています。そこには一言だけ「かばから」とあるだけ。そしてページをめくってみると、そこには「かばん」を鼻にぶら下げたかばがいます。
「かばんが にゅーっ ぶら ぶら ぶら」
綺麗なはなが画面一面に書かれています。そこには一言だけ「はなから」とあるだけ。そしてページをめくってみると、そこにははな(花)から(鼻)が飛び出ています。
「はなが にゅーっ くんくん くんくん いいにおい」
くもからくもが、はしからはしが、あめからあめがetc…。こうして次々に登場していきます。
長新太が生前に残した未発表のラフに、荒井良二が絵を描いた夢のコラボレーション絵本。
【丈太郎のひとりごと】
つい先日に復刊された長新太の『ちへいせんのみえるところ』(絵本塾出版) の帯には、荒井良二がこう書いています。
「この絵本に出会えていなかったら、ぼくは絵本を作っていないと思う。」
そこまで尊敬していた荒井良二にとっては今作は夢のような制作だったと思います。併せて大きなプレッシャーも抱えていたことでしょう。
しかし、そこは長新太への弊愛を強く感じます。それは絵は確かに荒井良二そのものですが、しっかりと長新太のテキストを捉え自分のものにしています。
長新太が今作においてどれぐらいのラフを残したのかは興味深いところですが、色の配色などはやはり長新太なのです。
長新太の絵本については多くを語ることは野暮なことだと思うので、これ以上の説明はいらないかと思いますが、長新太のスタンスはそのままに、荒井良二の絵によって蘇った長新太」を感じることが出来ます!
長新太ファンはもちろんのこと、荒井良二ファンも、そして全く初見の赤ちゃんからシニア層まで楽しめることは保証します。
「そうそう、これで良いんだよ!絵本ってこれで良いんだよ!」
僕は何度も読み返して思ったのでした。