高久至/写真 かんちくたかこ/文 32P アリス館
【海のなかは、まるで宇宙の銀河星のようだった!】
最初のページをめくると大きな口で笑っているような透き通った白のの身体に口や目や鼻を思わせる鮮やかな生き物が登場でします。これは「パンダツツボヤ」という見た目から名前がついたであろう「ツツボヤ」の仲間です。
次のページをめくると「ホヤ」の仲間たちが、ふわふわ、ゆらゆらと揺れています。ページをめくるたびに今まで見たことのない海の生物ばかりが沢山登場します。
様々な模様や彩が美しく「これが本当に海の中なのか?そして、本当に写真なの?」と疑ってしまうほどです。
登場する生き物には、必ず「名前」も写真を邪魔することなく記載されています。
そして、写真を邪魔しないようにちょっとした言葉が添えられていて、擬音語も多用されているため、2〜3才の子どもから大人までが楽しめます。
【丈太郎のひとりごと】
「海のなかシリーズ」(アリス館)の最新刊です。実は僕自身はあまり写真絵本が好みではありませんでした。何故なら写真になったものと実際に自分の目で見る色彩や美しさはどうしても変わってしまうからです。あと、最近ではPCの編集ソフトでどうにでも色合いを変えることが可能んおで、過度に「キレイに仕上げているもの」もあるからです。
この絵本も最初に観た時に美し過ぎて、正直疑いを持ちました。そして、編集者に連絡をして詳細を聞いてみると「ほとんど色補正などせずそのまま」とのこと。
海のなかでこんな原色があるの?AI生成画像のような人工的なものも本物?こんな幾何学模様が存在するの?本当にこんな輝きが放たれているの?etc…。と同じ地球上にあるとは思えない美しさで、しばらく何度もページをめくり眺めていたら、「自分の知らない美しさがこの世にまだあるんだなぁ。」と、なんだか生きている喜びを感じ、僕の写真絵本への偏見が消え去りました。
もちろん、その全てが見たことのない海のなかの生物ばかり。おそらく実際に自分の目で見ることは一生かけても出来ないと思いますが、この絵本でそのような生物に出会えることを嬉しく思います。
文章もシンプルで、その美しさの状況をそのまま文章になっていて、必ずその生き物たちには擬音語が優しく添えられていて、そこに写っているものに身を委ねるような感覚になります。
気になった生き物があれば全てに必ず生き物の名前が記載されているので、お気に入りの生き物は名前で検索して、もっともっとその生き物に近づいていくことも出来ます。
「やはり人工的に作られたものは、自然の美しさには勝てないな。」
何でもAIで画像も文章も生成可能で、綺麗で整ったものがいとも簡単に出来てしまう世の中で、僕はそう思うのです。
うん、自然には勝てない!