さいとうしのぶ/作 144P リーブル
【「ん」がついたら、しりとり番犬がやってくる!】
しりとりしましょ!
はじめは「あ」からスタートです。
「あ」から「ぽ」まで、濁音・半濁音もふくめた67音。
食べものの名前をつないで、つないで、しりとりが進んでいきます。
でも、気をつけてください。
「ん」のつく食べものを出してしまったら、「しりとり番犬」がやってきます!
その瞬間、しりとりは終わり。
さあ、また最初の「あ」にもどって、はじめましょう。
絵の中の食べものたちは、ただ並んでいるだけではありません。
学校へ、病院へ、銭湯へ。いろんな場所に出かけていく姿が、ページいっぱいに描かれています。
文章がなくても、絵を追っているだけで小さなストーリーが見えてくる。
1ページの情報量がたっぷりで、どこから眺めても飽きがきません。
しりとりを楽しむもよし、絵をじっくり眺めるもよし!さいとうしのぶさんの描くたべもの達の表情はとても豊かで、自然と笑顔になってしまう「魔法の絵」とも言えます。
【丈太郎のひとりごと】
しりとり番犬の登場に、僕は思わずニヤリとしてしまいました!
「ん」がついたら負け。これは、しりとりの世界共通のルールです。
その「負け」の合図を、悔しいものではなく、愉快な登場キャラクターに変えてしまう辺りが、さいとうしのぶさんの遊び心を表現しているように思えます。
今の世の中は、負けることにも、失敗することにも、とても厳しい空気が漂っています。でも、子どもの遊びの中くらいは、負けても笑える余白があっていいはず。
番犬が来たら、みんなで「あーあ!」と笑って、また「あ」から。この繰り返しの中で、子どもたちは負けることの怖さではなく、もう一度やり直せることの楽しさを、自然と覚えていくのだと思います。
しかも、しりとりは文字が読めなくても遊べる遊びです。耳で音を聞いて、次の音を探す。言葉の力の、いちばん最初の土台がここにあります。
「ん」で終わってもいい。笑って、また「あ」から始めればいい。
そんな遊びのお手本として、この一冊がずっと子どもたちの手元にありますように!
