クレメント・C・ムーア/詩 ミスター・ボディントン/絵 坂本美雨/訳 32P アノニマ・スタジオ
【クリスマスの前の夜がカラフルにキュートに描かれている!】
クリスマスの前の夜のことです。みんなが寝静まって、暖炉の側の靴下たちもサンタクロースのプレゼントを静かに待っています。
子ども達も夢をみて寝ています。ママもパパも眠る準備万端です。
窓の外を見るとそこには大きな月に照らされた真っ白な雪景色が広がり、そこに飛んできたのは小さなソリと8匹のトナカイです。
ソリを操るおじいちゃんは、きっとサンタクロースです。
トナカイ達とサンタクロースはオモチャをぎゅうぎゅうにソリに詰めて、屋根から屋根へ飛んでいきます。びゅんびゅんと飛び交う仲間達と、急いで煙突を降りていき、靴下にプレゼントを入れて、また次の場所へと向かうのです。
カラフルでポップでキュート!随所に使用されているピンクの色がクリスマスのワクワク感を大いに広げとキーカラーとなって鮮やかな夜が描かれています。
【丈太郎のひとりごと】
あらゆる作家によって描かれてきたロングセラーの名作が、ニューヨークで活躍するデザインスタジオの絵により、また新しいクリスマス絵本として仲間入りしました。
訳は歌手、俳優などで活躍する坂本美雨によるものです。絵の細かい描写を忠実に訳しながらも、語り過ぎず、流れるように躍動感が溢れる文章が絵を邪魔することなく、上手く融合しています。
そして、とにかく絵が素晴らしい!随所に色々なものにピンク色が散りばめてクリスマスの夜の気持ち的な明るさを表現するキーカラーとなっています。
このピンク色のせいか、2014年に公開された「グランド・ブダペスト・ホテル」というピンク色のホテルが象徴的な映画を思い出しました。個性豊かな登場人物達が繰り広げる、ユーモアたっぷりなコメディ映画です。
観たことがない方にはオススメの映画です!
僕はそんな世界観がやっぱり好きなんだなぁと、今作を読んで再確認しました。
ロングセラーの名作をリメイクするのはとても大変なことだと思います。それは必ず比較対象となるからです。しかし、今作は今までのどの作品と比較してもかなり評価の高い作品となることでしょう!
どの『クリスマスのまえのよる』が良いか迷ったら、僕はこの絵本を皆さんにオススメしたいと思います!
本当にときめいてワクワクして、心が温まる今作を多くの子ども達をはじめ多くの人々に届けたいと思います。
だって、こんな誰もがドリーミーな世界へ行ける絵本なんてないから!
