ガザの子供たち 渋谷区立富谷小学校六年 菊池志帆/作 小池アミイゴ/絵 34P 羅針舎
【かべから にげてきた こどもたちのえが ある日、ぼくらの 町に やってきた。】
『みんなで見たこどものえ』は、ガザの子供たちが描いた作品を通じて始まった心の交流を描いた1冊です。ガザ地区での過酷な状況を逃れてエジプトに避難している子供たちの絵が、ある日渋谷区の子供たちのもとに届きます。
届けたのは絵を通じて子供たちの心のケアを続けているミツキさん。その作品を見た一人の母親(著者)が、イラストレーターのアミイゴさんや学校の先生たちと協力し、富谷小学校の子供たちに絵を見てもらう場を作ります。
子供たちが見たのは、テレビのニュースでは決して感じることができない生々しい感情と状況。「ガザの子どもたちは、『自由に』って言われて絵を描いたんだって。」渋谷区の子供たちはアミイゴさんと対話し、ひとりひとり感じたことを絵に表現することに挑戦します。
「感じたことを1本の線で表現してみよう」そうして生まれた構図に今度は「自分の好きな色だけで気持ちよく塗ってみよう。」アミイゴさんの言葉に、子供たちは自分なりの「自由」を目指し、絵を描きました。
ガザの子供たちが見た景色や感じたこと、そして日本の子供たちが絵を通じて感じ取った平和への願い。『みんなで見たこどものえ』は、異なる環境で生きる子供たちの心の架け橋となった絵の力を伝える、希望の物語です。
(公式サイトから引用)
【丈太郎のひとりごと】
小池アミイゴさんとは、最近とても距離が近くなってきています。初めて会ったというか知ったのは、アミイゴさんが「絵と生き方をを学んだ」というセツモードセミナー。僕もそのスクールに通っていた時期があり、アミイゴさんは大先輩。
仲良くなった年齢も性別もバラバラで個性が強い(クセが強い)友達同士で,野球チームを作ったり、遊園地に遊びに行ったり、飲み会をしたりetc…。僕にとっては「絵を学ぶ」という本来の目的から外れ、課外活動に励んでました。その中でも1番楽しかったのは、「セツロックセミナー」という、クラブを貸し切ってDJやバンドのライブをやるイベントでした。
セツに通う人たちは、オシャレさんでちょっとクールでシャイ。イベントには顔を出すものの、みんな恥ずかしがってDJタイムなどで踊る人は、ほとんどいませんでした。そんな中、僕のDJタイムの出番がやってきて、思いっきり盛り上がる曲をかけるも反応は薄く、フロアは「ただの暗闇」でした。そんな中に「オイ!オイ!オイ!オイ!」と威勢よく現れて、みんなを煽るように踊る人が出現しました。その人こそがアミイゴさんでした。
アミイゴさんにつられて、恥ずかしがっていた人達のボルテージがあがり、DJタイム終盤のフロアは最高潮なカオス状態に!
それから、とても長い月日が流れ、僕はメルヘンハウスに二代目として入社して2年が経過した2016年、『とうだい』(福音館書店)が発刊されました。それはとても美しい絵本で、文章は詩人の斉藤倫さん、絵はナント!アミイゴさんだったのです。
『とうだい』に感銘を受けた僕は、色々なところで宣伝をしまくりました。そして、ある日のこと、メルヘンハウスにアミイゴさんが突然やって来たのです!僕はすぐさま「アミイゴさん!」と声をかけ、すると「君が丈太郎君か。『とうだい』を推してくれてありがとう!」と言って、店内で息を大きく吸って「ここは本の匂いがする!」と言ってくれたことを今でも鮮明に覚えています。
そこから現在に至るまで、徐々に親交が深くなり、今年の春にはアミイゴさんの初めての作絵『はるのひ』(徳間書店)の原画展を開催しました。期間中に、丸一日かけて、子どもたちとのセッション&トークショー&サイン会と、作家をコキ使い倒すようなことにも、とても協力的にやってくれました。
アミイゴさんの活動は、Facebookにて日々精力的に全国を飛び回り、そして地元愛の強さが故の日々の子どもたちの登校見守り、被災地への支援など、その作家を超えた活動に尊敬の念を抱きました。
そんな中で、今作のことがFacebook上で熱く語られており「メルヘンハウスで扱わせて欲しい」と速攻メッセージを送り、仕入れの手立てなどの仲介をしてもらいました。
「ガザ地区」とう単語はメディアでよく耳にしたり、見たりもしますが、この絵本はそんな情報よりもリアルに、そして「子ども」にフォーカスした素晴らしい作品でした。
「ガザ地区」の子どもたちが描いた「絵」を目にした、遠く離れた東京渋谷区にある小学6年生の子どもたちにアミイゴさんが問いかけ、出来上がった絵はどれも美しいものでした。
この絵本に記された記録は、やがて絵を描いた子どもたちの記憶にずっと強く残っていくことでしょう!
この絵本を開いて今起こっている悲惨な現実を知り、自分にできることは何か?と考え、そして実際に行動を起こして欲しいと切に願います。