【揺れ動く子どもの心情に同感!】『ともだち』

【揺れ動く子どもの心情に同感!】『ともだち』

リンダ・サラ/作 ベンジー・デイヴィス/絵 しらい すみこ/訳 32P ひさかたチャイルド

【仲良し2人組に、新しい友達が加わったら、、、。】

僕とエトは大の仲良しで、いつも2人で段ボール箱を丘の上まで引っ張っていって、王様になったり、空を飛んだり、海賊にも、宇宙飛行士にもなって、いつも一緒に楽しく遊んでいます。

何をするにも2人は一緒で「ふたり いっしょ」が僕は大好きです。

ある寒い日のこと、知らない男の子が丘の上に段ボールを引っ張ってやってきました。名前はシューといって、いつも僕たちのことを見ていたようで、そして、こう言ったのです。

「なかまに いれてくれる?」

エトは「いいよ」と答えて、それから何日かするとエトとシューは、一緒に遊ぶようになり、僕が仲間外れのようになった気がしました。そして、その日の夜に家で自分の段ボール箱をぐちゃぐちゃに潰してしまいます。

エトとシューが一緒に遊ぼうと誘いに来ても僕は行きませんでした。そして、エトと僕のダンボール箱が二つ並んだ絵を描いて、エトと2人で一緒に遊んでいた楽しかった日々を思い起こすのです。

そして、ある日のことシューが家に来て、君に良いものを作ったから見にきてというのです。そこで、僕はカーテンの隙間から外を覗いてみると、、、。

全体的に中間色を中心に描かれているため、とても優しく、温かく、穏やかな時間が流れているような爽やかな気持ちになれる絵本です。

【丈太郎のひとりごと】

この絵本を読み終わって「わかるよ、よ〜くわかるよ、その気持ち!」と僕は心の中で呟きました。それは僕にも似たような経験が少年時代にあったからです。おそらく、その気持ちって誰もが一度は経験したことがあることではないでしょうか?

実は大人になってからでも、そんな気持ちを抱くことが何度もありました。その度に「自分はちっちゃい人間だなぁ。」と思ったものです。

独占したい気持ち、そして新しい出会いや事象に対する警戒心が強いと、どうしても抱いてしまう気持ちです。今までの関係性が壊れてしまうのではないかと、取った、取られたというように心配になっていくものです。

この絵本は、そのような複雑な心情をとても正直に描いています。そして、新しい関係性の素晴らしさも。

パキッとした原色で描かれている絵も良いですが、中間色の使い方が見事で、子どもたちの汚れのない純粋な心情が爽やかに伝わってきます。街中でも新しい車の色などは中間色の色が増えましたよね。時代的に世の中では中間色ブームなのかもしれません。

いずれにしろ、誰しもが経験したことがあるようなお話。どこか懐かしくて恥ずかしくて、できれば忘れたい思いだったりもしますが、今まさにこの絵本のストーリー真っ只中の子どもたちには読んでほしい絵本です。

リンダ・サラ/作 ベンジー・デイヴィス/絵 しらい すみこ/訳 32P ひさかたチャイルド【仲良し2人組に、新しい友達が加わったら、、、。】僕とエトは大の仲良し…
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