たけがみ たえ /作 36P アリス館
【迫力の抑揚がダイナミックで乳児さんでも楽しめる!】
野で、山で、いつもの散歩道でふと目があった生きものたち。目があうとハッとして、ドキッとする。心躍る瞬間を木版画で描いた絵本。
(出版社の紹介文から引用)
【丈太郎のひとりごと】
僕がたけがみたえさんの存在を知ったのはこの絵本でした。編集者であり「月とコンパス」いう名の出版社もされている西山雅子さんから「すごい絵本が出来たのよ!」と見せて頂いたのが最初でした。
タイトル通りのストレートな内容。遠目に生き物たちを「みたら」ページをめくると「みられた」とページ全体にド迫力のアップが描かれています。
本当にこの繰り返しだけなのですが、遠目の可愛らしさとアップの迫ってくるようなダイナミクスの差が激しく、ミステリードラマで見てはいけないものを見たような、ちょっとした「ゾッ」と身震いするような感覚もあり、これがクセになる楽しさなんです!
良い意味でザックリと木版画ならではの躍動感が、小細工なしの一発勝負というような作家の気迫を感じます。色遣いも勿論色々と工夫はされているのですが「これでどうだ!」みたいな潔さがあります。
と、いかにも意図も容易く完成した作品かと思いきや、編集した西山さん曰く「かなり難産だった」とのこと。そうやって制作をするということは読者の知らないところで作家が一生懸命描いて(彫って)いるのです。
乳児さんから大人まで、幅広く楽しめる絵本であることは間違い無いのですが、きっと乳幼児さんたちに読んだら「みられた」とページをめくると「キャーキャー」と声が出ることでしょう。
あー、こうして書いているうちに子どもたちを集めて読んでみたくなってしまいました!子どもたちよ、早くメルヘンハウスにおいで!