シドニー・スミス/作 原田勝/訳 40P 偕成社
【このことも、いつか思い出にできるかな。】
「ねえ、おぼえてる・・・?」と布団の中で母親が息子に向かって話しかけます。パパと3人で野原に行った時の話です。息子は「うん、おぼえてる。たのしかったよね。」と答えます。
「じゃあ、ぼくのばん。ねえ、おぼえてる・・・?」と母親に話しかけます。僕の誕生日のこと。パパに呼ばれて外へ出たら「ほら、おまえの自転車だよ」ってプレゼントをしてくれた時のことです。母親は「わすれる分けないでしょ。」と答えます。
こんなやりとりが布団の中で続きます。家を出てここへ来るまでのこと、途中で道に迷ったこと、ビルだらけの大きな街を通りやっとここまで辿り着いたこと。色々な思い出が蘇ります。
言葉少なめに情緒深い絵で、思い出とこれからのことが美しく描かれています。
【丈太郎のひとりごと】
喜び、悲しみ、痛み、絶望などがドッと押し寄せるような中で、希望を見つけていく少年の姿がとても印象的です。様々な思い出が良きものとは限りません。しかし、様々なことがあったからこそ、これからのことに希望を持てるのだと思います。
とにかく多くの子どもたちや大人の方に手に取って欲しい絵本です。そして、込み上げてくる想いを子どもと大人が共有して欲しいと思います。