森 絵都/作 スギヤマ カナヨ/絵 36P 偕成社
【「ぼくだけのこと」が積み重なって「ぼく」になる】
ようたには兄弟が二人います。三人兄弟の中で「えくぼ」があるのは、ちょっと嬉しいぼくだけのことです。お父さん、お母さんと五人家族で、ぼくだけがいつも蚊に刺されるのも、ちょっと困ったぼくだけのことです。
ぼくには仲良しの友達が六人います。その中でもぼくだけが逆立ちが出来るちょっと得意なぼくのことです。
ぼくには二十人のクラスメイトがいます。その中で芸能人のサインを持っていないのはちょっと悲しいぼくだけのことです。
こうして、学校、町、世界とぼくの周りは広がっていきますが、ぼくだけのことはそんな中でもあります。でも、もしかしたらこの大きな地球のどこかに一人ぐらい・・・・・・。
明るい表情がとても印象的でイキイキとした絵が、ぼくだけのことを楽しく表現しています。
【丈太郎のひとりごと】
自分だけ人と違うと自慢したくなることがありますよね?その一方でそれが悪いことであれば後ろめたい気持ちにもなる。様々な「ぼくだけのこと」が積み重なって「ぼく」と言う人間が成り立っていて、それを個性と呼ぶのでしょう。
そして、かけがえなのない「ぼく」という一人を認めることが出来るのであれば、それは素晴らしい人生を送ることができます。些細ないことでも大きさは関係なく「ぼく」「わたし」探しをしてみましょう!きっと自分にしかないことが沢山あるはずです。