ハリー・アラード /作 ジェームズ・マーシャル/絵 こみやゆう/訳 32P 小学館
【オマヌケ?そんなゆるい感じじゃありません!クレイジー家族の愉快な1日】
ある朝、パパ・オマヌケさんが目を覚ましました。なんだかウキウキする気分の様子です。
「おい、みんな。きょうは、とっても たのしい オマヌケなことが おこりそうな きが するぞ」
子どもたちはとても嬉しそうです。
家族みんなはシャワーを浴びながら、いつものように朝ごはんを食べましたが、たまごが流れていってしまいました。朝ごはんの後は子どもたちは家のお手伝い。弟のバスター・オマヌケは芝刈り機で絨毯を刈り、姉のべチューニア・オマヌケは部屋の植物にスプリンクラーで水やりをしました。
柱時計が11回なれば、もう12時です。お昼の時間です。食事中バスターは足の指をしゃぶってますが、パパは行儀が良くなってきたと誉めます。ママ・オマヌケさんは何十匹の鶏を身体に巻きつけて新しい服を作りました。パパはとっても似合っていると誉めました。
その日の夜、オマヌケ家族のみんながテレビを見ていると「パチンッ」と突然部屋の中が真っ暗になりました。
「われわれは とうとう、しんでしまったんじゃないか?」
と、パパ・オマヌケさんが言いました。さて、オマヌケ家族は本当に死んでしまったのでしょうか?
古き良きアメリカンコミック調でポップに描かれた絵は、この破茶滅茶な家族の1日を楽しく彩っています。
【丈太郎のひとりごと】
絵本作家の高畠純さんは、たまにメルヘンハウスに遊びに来たりしてくれます。そんな時、この絵本を見つけて「こういうしょうもないない絵本って良いよなぁ!」と言って購入しました。
前にも同じようなことがありました。それは『だれがいちばん? がんばれ、ヘルマン!』(https://shop.meruhenhouse.com/items/84646467) でした。表紙を見て「こういうの良いなぁ」といわゆるレコードでいうところの「ジャケ買い」ってやつですね。
絵本に意味を求める人が多いけれども「意味なんてどうでも良いんだ!」って、純さんの絵本のセレクトの仕方、惹きつけられる様子を見て思いました。
そもそも絵本はアートでありながらもエンターテイメントなもの。楽しいだけで何が悪いってこと。もちろん、そこには作者の言わんとしている深い意味があるかも知れませんが、そこはどう受け取っても良いのです。
この絵本は1981年に発刊され、日本では2023年に翻訳されて発刊されました。この空白の40数年は何だったのか?そして、絵本に意味を求める人が多い中でこの絵本が今のタイミングで日本で発刊されたのは、まだまだ日本の児童書の未来は明るいぞ!って思いました。
本当に純さんの言う通り「しょうもないない絵本」です。それは極上の褒め言葉だと思います。