ヴィルジニー・アラジディ カロリーヌ・ペリシェ/作 エマニュエル・チュクリエール/絵 カヒミ カリィ/訳 24P アノニマ・スタジオ
【暗闇の中に光る動物たちの「おやすみなさい」】
おやすみの時間です。もうすっかり夜で、夜は真っ暗な布団で森を優しく包みます。
「しー・・・・・・さあ おやすみなさい」
静かな静かな音は夜の音です。大きな夜空には輝くお月様がひとつ、静かな月明かりです。
「しー・・・・・・さあ おやすみなさい」
夜のの自然の様子が、とても丁寧に書かれており、ゆっくりと時間が流れます。そして、我が子を愛する気持ちが溢れています。
濃いグレーの中に浮かび上がるように描かれた蛍光ピンクのリスの親子や色々な親子がとても美しく、心が清らかになり、シンプルな思考になっていきます。
【丈太郎のひとりごと】
訳しているのはカヒミ カリィ。90年代に音楽業界に旋風を巻き起こした「渋谷系」と呼ばれる音楽家たちの中の1人です。まさか絵本でカヒミ カリィに再会するとは思っていませんでした。
しかし、訳されたストーリーは言葉ひとつひとつを丁寧に選んで夜のおやすみの時間を見事に演出しています。そして、絵も素晴らしく動物たちの親子が暗闇に浮き上がるように描かれているのですが、何故だかとても自然に受け入れることができます。
寝る前のちょっとした時間をこの絵本で子どもと一緒に、優しく開いてみたくなります。
アートブックとしても十分に楽しめる優れたアートワークな絵本です。