内田 麟太郎/作 はしもとみお/絵 33P 教育画劇
【「ともだち」」を初めて感じる。】
広い広い海の真ん中に、ぽつんとちいさな島がありました。そこには1匹だけイグアナが住んでいて、涼しい木陰でいつものんびりつくろいでいました。島は美味しいものがいっぱいで何一つ不自由はありませんでした。
ある日、「ぱた、ぱた、ぱた。」と羽を痛めたカモメが落ちてきました。イグアナは薬になる葉っぱを揉んであげました。海辺に打ち上げられる魚も運んであげたお陰で、カモメは少しずつ傷が治ってきました。
「イグアナさんは ひとりぼっちなの?
カモメはイグアナに聞きますが、ずっと1匹で暮らしていたイグアナには意味が分かりませんでした。カモメは友達はいないのか?寂しくなかったのか?イグアナに聞きますが、やはり意味がわかりません。
カモメは毎日歌ってくれました。遠い国の話もしてくれました。イグアナはとっても幸せでした。そして、カモメの傷もほとんど治ってきました。
渡り鳥のカモメはとうとう飛び立つ時になりました。そして、亀目が飛び立った後、亀は、、、。
言葉少なめのお話に彫刻と絵が融合した風景が美しく描かれており、魅了されてしまいます。
【丈太郎のひとりごと】
とても静かでゆっくりと時間が流れる絵本です。時が止まったかのように、この絵本の世界観に引き込まれていきました。それほど美しい絵本です。日常も楽しいことも悲しいことも、ギュッと凝縮されています。
彫刻と絵が融合した画面は、本当に海にいるかのような思いにしてくれます。最小限の言葉の数々が色々な想いを馳せてくれます。
静かに絵本を楽しみたい時に、おすすめの絵本です。
【丈太郎のひとりごと】
この絵本を読んだ時、正直泣きそうになりました。それはお話の影響でもあり、絵の美しさの影響でもあるような気がします。今すぐに島に駆けつけたくなりました。そして、イグアナと一緒に木陰で海を眺めたくなりました。
詩人である作者の選び抜かれた言葉で構成された文章は流石とか言いようがありません。
皆さんも静かにこの絵本を楽しんでください。この絵本に出合えたことに幸せを感じることでしょう。